大阪のライター オフィス「おふぃす・ともとも」代表ブログ

大阪在住のライター高野朋美(おふぃす・ともとも代表)です。最新の実績、仕事への思いなどもご紹介。

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本をつくる

このほど、友人であり、がん家族セラピストの酒井たえこさんの本づくりに関わることになりました。

彼女から「本を出したい」と打ち明けられたのは、昨年のこと。
本を通じて、救わなければならないのは、がん患者本人だけでなく、がん患者を看病する家族だ、ということを伝えたい。
それが理由でした。

国民の3人に1人ががんで亡くなるという時代。
がん患者へのケアは、昔に比べればかなり進んでいますが、ほとんどケアの手が差し伸べられていない人たちがいます。
それが、がん患者をもつ家族。

患者本人の苦しむ姿を見ながら、仕事や家庭との両立に心身をすりへらす。
医師からは「治療を続けますか?どうしますか?」と決断を迫られ、迷う。
たまにしかお見舞いに来ない遠い親戚や兄弟からは、「あなたがしっかりしないとね」とはっぱをかけられる。
これ以上、なにをどう努力しろというの…。わたしだってボロボロなんだよ…。

そんな思いの中で、誰にも助けを求められず、苦しみもがいているのが、がん家族なんだよ、と彼女は教えてくれました。

その家族たちに、がん患者との向き合い方、余命の考え方、看病のコツ、親戚や兄弟たちとのやりとりのポイント、自分がつぶれないためのリフレッシュの仕方をレクチャーし、サポートしているのが「がん家族セラピスト」である彼女の仕事。
本では、彼女が実践している「がん家族のための看病ノウハウ」を紹介します。

がん患者にスポットライトが当たった本が多い中、がん患者の家族にスポットを当てて「家族にこそケアが必要」と訴えている本は、あまりありません。
それなのに、この本を出版してくれる出版社が、なかなか見つかりませんでした。
著者に知名度がないと本が売れない、というのが、大きな理由の一つだったと思います。
でもこのほど、ようやく「うちで出しましょう」という出版社が現れてくれました。ISNという、弊社のお客様でもある出版・制作会社です。

それにしても、本づくりは面白い。
どのような読者に、どのような切り口で、どのようなストーリーで語りかけていくか。
これを、出版社、著者である彼女、編集として携わる私で話し合っていきます。
ああでもない、こうでもないと言いながら、だんだんと方向性が定まっていくプロセスは、散らかった本棚がすっきりと整理されていくような、そんな気持ちよささえあります。

意見が食い違うこともありますが、だからこそ、意見が一致したときには、お互いの理解が深まります。
本づくりもまた、理解と信頼の上に成り立っているのだと感じています。

出版業界は、年々厳しい状況におかれています。
文字ばなれが進んでいるから、本よりネットの時代だからと、いろいろなことが言われています。
でも私は、世の中がどうなろうとも、人に必要とされる本は残るし、長い期間にわたって売れ続けるのだと思っています。

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